それぞれの想い

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2015-05-12 19:06:48

カテゴリー:優しい気持ちのお話し

Grandmother_Hands

「あらー、元気そうじゃない」
 

たまに顔を出すと
 
顔をクシャクシャにして迎えてくれる母。
 
 
 
その20分後・・・
 
 
 
「いや、そうじゃないでしょ!俺、納得できない」
 
「世の中を分かってないのよ、夫ちゃんは・・」
 
 
 
また始まった。
 
 
 
これ、私の母と夫のやりとり。
 
2人とも一歩も引きません。
 
 
 
やんちゃ上がりの夫と、
 
未だにそれを「更生させてやる」という母。
 
おいおい・・・
 
 
 
イイ年したオヤジの夫をつかまえて
 
「私の目の黒いうちに根性を叩きなおす」と息巻き、
 
会うたびに一回り小さくなっていく母。
 
 
 
本人達のいたって真剣な言葉のやりとりを
 
ドラマのように傍観しながら、口を挟むことなく
 
おせんべいを頬張り、お茶をすする私。
 
慣れたものです。
 
 
 
若いうちに息子を亡くした母としては、
 
こうして本音でぶつかってくれる

この存在が、なによりも嬉しいんでしょうね。
 
 
 
この2人の関係、決して悪くないんですヨ。
 
 
 
遠いので会えるのは年に5、6回ほど。
 
母の日、誕生日、敬老の日・・
 
事あるごとに母を連れ出しては
 
母の歩調に合わせて一緒にお買い物する夫。
 
 
 
凍った雪道で転ばないようにと
 
夫が奮発した母の冬靴。
 
 
 
「夫ちゃんが買ってくれたから勿体無い」と
 
履かずに外出して案の定転んで骨折。
 
 
 
お買い物が大変だろうと
 
プレゼントしたシルバーカーも、
 
来客に見えるように玄関に飾ったまま・・・
 
 
 
先日、数年ぶりに初めて使ったらしく
 
「Mieco、これ便利ヨォ!」と電話があった。
 
 
 
そりゃ、そうでしょうとも・・・
 
どれだけ機能性を検討した事か。
 
 
 
口が達者で夫に厳しい母だけど、
 
移植前、初めて
 
その方向で検討していることを伝えると
 
「ちょっと待ってなさい」と何やらゴソゴソ探しだした。
 
 
 
「夫ちゃん、ホイッこれ!」
 
手渡されたのは健康診断の結果表。
 
 
 
 
「これを主治医さんに渡しなさい。
 
私はどんなに頑張ったって
 
あと30年も生きられない。
 
なら、夫ちゃんが活かしてくれたらいい。
 
 
 
Miecoにはまだやる事があるから。
 
 
 
子供達の結婚もあれば、
 
孫の顔も見なきゃね。
 
私はもう充分シアワセだから。
 
私のを使いなさい」
 
 
 
夫は驚きのあまり声にならないようだった。
 
 
 
「気持ちだけ、ありがとね」
 
私から封筒を返すと
 
「Mieco、そんなことしたら縁切るからね」
 
という母。
 
 
 
いくら、年齢制限のことを言っても
 
一向に聞く耳を持たない。
 
 
 
「他の年寄りと一緒にしないでちょうだい。
 
私を誰だと思ってるの。
 
 
 
出来るかどうかはMieco達が
 
決めることじゃないはずよ。
 
1個より、2個の方が可能性は広がるでしょ!」
 
 
 
義理の息子に臓器を提供するために
 
実の娘と縁を切る。

 
こんな事を平然と言ってのけてしまう。
 
お母さん、あなたって人は・・・
 
 
 
母の言葉に負け、
 
母と私の検診結果を持って
 
夫と2人で主治医の下へ。
 
 
 
主治医は始終ニコニコとした表情で
 
母の数値を確認し、一言。
 
「お母さん、太ってるでしょ。」
 
 
 
移植に際して、ドナーの内臓脂肪は
 
かなり問題があるらしい。
 
 
 
「奥さんの検査を進めましょう」
 
この言葉がどんなに嬉しかったか。
 
 
 
第一関門突破!
 
母の体に傷を付けなくて済む安堵感。
 
そして、
 
へへへっ・・私の内臓脂肪は合格圏内。
 
 
 
そこへ主治医からもう一言添えられた。
 
「あと7kg落とそうか、奥さん」
 
一難去ってまた一難・・・
 
 
 
報告を待つ母の元へ
 
主治医の言葉を伝えに行った私たち。
 
 
 
ありったけの感謝の言葉と共に
 
主治医のあの一言を伝えた。
 
 
 
「まっ、失礼ね! 
 
母さんはこれで普通なの。
 
見る目ないんだから、まったく・・・」
 
 
 
「だからさぁ、
 
年齢とかいろいろ絡んでるんだって!」
 
 
 
この日、夫は初めて傍観者になった。
 
 
 
1つの命の為に動いた2つの命。
 
 
 
この時、夫はどんな思いで
 
お茶をすすっていたんだろう・・ 

 
★ ★ ★
 
 

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